悪魔なキミと愛契約【番外編】
呟いた俺に、偉そうに指示してきたコイツ。
担任だか何だか知らないが、俺は魔界の王子だぞ。
シキに言って、クビにするか?
……って
ここでは、通用しないか。
ここでは、ひとりの女を追って転入してきた、ただの男だ。
「黒羽 ルカです。
よろしくお願いします」
一生のうち、あるかないかだろう。
人前で、このように頭を下げるのは。
これも全て、サラ、おまえの――…
……サラ?
頭を上げたその時、サラの表情が一番に目に入った。
先ほどよりも目を丸めてひどく驚いている様子。
やはり、何かを覚えている。
俺の顔か?
それとも、俺の名前か?
サラ、おまえは完全に記憶を消されたはずだろう。