それはたった一瞬の、


熱が引いて元気になったとわかると、沙霧が豪勢な料理を振舞ってくれた。

食卓の上でキラキラ輝いている料理を、釧奈がよだれを垂らして見つめている。


「ほわぁぁ…っ、沙霧すごいかも、て、天才かも…!」

「そーだろそーだろ。いーからそのよだれをどうにかしろ」

「はっ!し、しまったかも!沙霧にはめられたかも!」

「はめてねぇよバーカ」


和やかな会話の裏にどれだけの葛藤があるのか、なんて。

知りたくなかったとは思わない。

でも知ってしまえば、素知らぬフリをするのは不可能だ。


相談に乗るっていうのも難しいな…。


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