それはたった一瞬の、
取り残された釧奈が、捨てられた子犬のようにしょんぼりと肩を落とす。
「釧奈、大丈夫ですか?」
「…うん、平気かもぉ」
その口調も弱々しい。
さっきの話からすると沙霧って…。
「沙霧って、体弱いの?」
言ってから、しまったと口を押さえる。
ついさっき八つ当たりして自己嫌悪に陥ったばかりなのに。
うろたえる私に、釧奈は目尻を下げて笑った。
「そうだよ。だから、誰かが側に付いてないとダメなの」
そんなに悪い病気なのか。
もっと聞きたい気持ちを抑えて、私は小さく首を振る。