私の小指が教えてくれた事



私は…伴奏を弾く度、少しずつ少しずつミスをするようになった。

それに気づき、文句を言ってくる人がいた。

「下手くそだなー、リオが弾けばよかったのに」
ある男子が言った。私はその小さな一言に大きなショックを受けた。

怪我の事も知らないくせに…自然と涙が出た。
仕方なく、しげちゃんに相談して話した結果、クラスメイトに怪我の事を話す事になった。

「ユミはみんなのために頑張ってくれてる…だけど…ユミは部活で怪我をしてしまったの。思うように弾けないユミが一番辛いの。だからみんな応援してあげて」
しげちゃんが言ってくれた。

なのに……

「伴奏者のくせに怪我なんかすんなよ、お前のせいで優勝とれなくなったかもしれねーじゃん」
そんな事を言った人がいた。
私は、泣いて泣いて…泣きすぎて死ぬんじゃないかってくらい泣いた。

そんな私に優しく声をかけてくれた子がいた。
リオだ。

「大丈夫だよ。みんなでユミの分まで歌うから…。みんなで優勝しよ??」
嬉しかった。私を恨むような立場のリオに言われた。本当にリオは優しい。迷惑かけた私なのに…恨みがあるに決まってるのに…私を支えてくれた。



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