シャボンの国 -the land of soap bubbles-
「花音」



ふいに名前を呼ばれて見上げればイタズラ気に笑ったままのカイルの顔がすぐ傍にあって、その綺麗さ故に心臓が速まっていくのがわかった。




「下、見てみ?」




いつもより近い声。



それは程良いテノールで聞き飽きる事は無い。




カイルの言葉に下を見た花音は思わず感嘆の声を挙げる。





「わぁ……!」




「飛んだついでに大分高くまで上がったからな」





暗闇に浮かぶ無数の小さな光の粒。



ある所ではその粒が動いていたり、またある所ではその粒が色んな色に変化したり。



あまりに綺麗すぎるその光景を花音は雨が降っている事も気にせずに見入っていた。
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