恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
ずっと、親友だと信じていたひかりに裏切られていたことを知った、あの日から。
与那星島へ越してきた、あの日から。
あたしが勝手に思い込んでいたのかもしれない。
あたしは孤独の世界にぽんと投げ出されてしまったのだ、と。
周りは人で溢れているのに、ひとりぼっちになった気がしてたまらなかった。
ひとりだと思うな。
あたしは誰かにそう言ってもらうのを、ひたすら待ちわびていたのかもしれない。
初めて、気付いた瞬間だった。
「だからさ。陽妃はひとりじゃないさ。おれがおる。美波もおるよ。おばあだって」
バカみたいに泣きながら、あたしは夢中になって海斗の手を握り返していた。
ピンと張っていた緊張の糸が、一瞬で弾けて切れた。
体が、心が、みるみるうちに軽くなっていく。
「ごめん、海斗……ありが」
暗がりの中で、海斗がクスクス笑った。
「いいさ。たくさん泣くといい。涙はさ、心の毒を洗い流すキレイな水なんだぜ」
だから、泣くのは悪いことじゃないんだよ、と海斗は笑った。
涙があたしの心にこびりついた毒を洗い流していく気がした。
海斗の言葉通りに。
泣き疲れたころ、びっくりするほど心が軽くなっていた。
あたしが泣いている間中、ずっと。
海斗は何も言わず、ただひたすらに手を握って寄り添っていてくれた。
もしかしたら、この時の海斗は、泣くあたしに昔の自分を重ね見ていたのかもしれない。
次第にまぶたが重くなってきた。
ゆっくり訪れたまどろみの中をさまよい始めたあたしに、海斗は囁くように聞いてきた。
「陽妃?」
与那星島へ越してきた、あの日から。
あたしが勝手に思い込んでいたのかもしれない。
あたしは孤独の世界にぽんと投げ出されてしまったのだ、と。
周りは人で溢れているのに、ひとりぼっちになった気がしてたまらなかった。
ひとりだと思うな。
あたしは誰かにそう言ってもらうのを、ひたすら待ちわびていたのかもしれない。
初めて、気付いた瞬間だった。
「だからさ。陽妃はひとりじゃないさ。おれがおる。美波もおるよ。おばあだって」
バカみたいに泣きながら、あたしは夢中になって海斗の手を握り返していた。
ピンと張っていた緊張の糸が、一瞬で弾けて切れた。
体が、心が、みるみるうちに軽くなっていく。
「ごめん、海斗……ありが」
暗がりの中で、海斗がクスクス笑った。
「いいさ。たくさん泣くといい。涙はさ、心の毒を洗い流すキレイな水なんだぜ」
だから、泣くのは悪いことじゃないんだよ、と海斗は笑った。
涙があたしの心にこびりついた毒を洗い流していく気がした。
海斗の言葉通りに。
泣き疲れたころ、びっくりするほど心が軽くなっていた。
あたしが泣いている間中、ずっと。
海斗は何も言わず、ただひたすらに手を握って寄り添っていてくれた。
もしかしたら、この時の海斗は、泣くあたしに昔の自分を重ね見ていたのかもしれない。
次第にまぶたが重くなってきた。
ゆっくり訪れたまどろみの中をさまよい始めたあたしに、海斗は囁くように聞いてきた。
「陽妃?」