恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
悠真が眉間にしわを寄せる。


「なにが言いたいんか?」


こんなふうに感情を表情や仕草にはっきり出しちゃうような、正直な男の子。


いるんだ。


「今日はよろしくお願いします」


軽く会釈をして顔を上げる。


「何か。改まってさ。変ないなぐゎーやさ(変な女だ)」


整った顔立ちをくっしゃくしゃにして、無防備な笑顔を見せた悠真を見て思う。


悠真って。


きっと。


真っ直ぐに生きて来た人なんだろうな、って。


あたしみたいにひねくれたりスレたりしないで。


好きなものは好きって言って、嫌いなものは嫌いって言って。


良いことは良いって、悪いことは悪いって。


自分に真っ直ぐ、生きてきた人なんだろうな。


海の色も、空の色も、風も綺麗な。


あたたかい、この場所で。


「あの、悠真、くん」


「ああ、“悠真”でいいさ。わんも“陽妃”って呼ぶやさ」


「うん」


そして、もうひとつ気付く。


ほんのさっきまではその顔立ちが大我に似てると思っていたけど。


やっぱり、違う。


全然違う。


確かに大我はカッコ良かったけど。


悠真みたいに無防備に笑ったことなんてなかった気がする。


いつもいつも裏があるような含み笑いをする人だった。


時々というより、いつも何を考えているのか分からなくて、不安で怖かった。


似た顔立ちだけど、悠真は大我じゃない。


ここは沖縄で、いっぱい傷付いた東京じゃない。


「行こう、陽妃」


「あ、うん。待って」


すたすた歩く悠真の左横に並び歩く。


「背、高いね。何センチ?」


見上げながら聞くと、


「ティーチ、ヤーチ、ナナチ」


悠真は指で1、8、7、とジェスチャーを交えながら言った。
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