恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「やしが。おばぁのウシラシや、良く当たるんやっさ」


その横顔は確かに笑っているのにどこか寂しげで、あたしは「ふうん」と相づちを打って足元に視線を落とした。


石垣島に吹く風はとてもやわらかい。


たんぽぽの綿毛がふわふわと舞うようなやわらかさだ。


「陽妃」


しばらく無言で歩いていると悠真に肩を叩かれ、


「あと少しで着くよ」


顔を上げた時ふと視界に入ったのはその真っ赤なピアスだった。


「ねえ、それって宝石? 本物?」


陽射しを跳ね返して鮮やかな赤色に乱反射するピアスを指さすと、悠真は左手でそっと耳たぶに触れ「ガーネットさ」と微笑んだ。


「本物? すっごいキラキラ光ってるけど」


「……さあ、どうだかね」


どっちでもいいさ、と悠真が濁すように言った。


「珍しいね。ガーネットのピアスとか。ほら、男の子ってシルバー系のピアス、じゃらじゃら付けてたりするじゃんね」


大我もそうだったし、クラスの男子の大半もシルバーピアスをしていた。


だから、真っ赤な宝石のピアスが妙に新鮮で、興味を抱いた。


「なんで赤い宝石のピアスなの? 何か深い意味とかあるの?」


「秘密さ」


人間はつくづく欲にかられる生き物だと思う。


秘密、と言われるとますます気になって、追求したくなってくる。


「いいじゃん、教えてくれても」


「秘密やっさー」


「えー! あ、ガーネットって1月の誕生石じゃなかった? もしかして、誕生日1月だったりする?」


次々と質問攻撃すると、悠真は「まったくよー……」と呆れ顔になり、道の真ん中で立ち止まった。
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