恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「ないちゃーのいなぐやぁ早口やさ」


悠真があたしを指さしてフウと溜息を吐き出した。


「早口? って、あたしのこと?」


「いー(そう)。ついて行けねーらん」


「え? 何? 意味分かんない。ないちゃーってなに? こっちの方言まだあんまりよく分かんないんあけど」


「なんぎ臭いいなぐやんやぁー。早口でついて行けんって意味やんど」


それまではピーチクパーチク、ポンポンはずんでいた会話。


でも、あたしの一言でその会話はぎこちないものになった。


「あ、分かった! 彼女からのプレゼント!」


でしょ! 、と悠真の左耳を指さした次の瞬間だった。


突然、ピアノ線がプツンと切れるように、威勢の良い返事は途切れ、悠真が立ち止まった。


「どうしたの?」


「……」


悠真の顔から笑みが消え、強張っているように見える。


明らかに動揺しているようにも見える。


「あ、ごめん。図星だった?」


触れてはいけない話題だったかな、と苦笑いすると、


「……いや」


悠真は歯切れ悪く、


「彼女やぁ、おらん」


と困ったようにぎこちなく笑ってフイと目を反らした。


「おらんよ。彼女なんか」


「なーんだ。いないんだ」


「何だとは何か。失礼ないなぐだば」


でも、すぐにわははーと大きな口で笑って歩き出した悠真が妙に気になった。


悠真は本当に分かりやすいと思う。


思ったことが顔に出るから。
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