恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「うわ! どうしよー! 迷う!」
ジェラート屋さんは歩いて5分ほどの、お土産屋さんがぽつぽつと軒を連ねる通りにあった。
「でっかい声出すな! どぅーぐるいやっさーろ!(恥ずかしいだろ)」
「は? 何?」
「……恥ずかしいば!」
「だって!」
興奮せずに居られなかった。
「種類すごいんだもん!」
毎日、お店のおじさんが新鮮な材料で手作りしているというジェラートは30種類もあって、目移りせずにはいられない。
まるで輝く宝石のようなジェラート。
「やばい、やばい、やばい」
右から左へ、左から右へ、舐めるように見つめて迷っていると、悠真が溜息交じりに言った。
「じゅんに東京に住んでいたんかね。東京にはもっといろんな店があって種類もあるんでないんかね」
「そりゃ、あるけどさ。でも、こんなにキラキラしてないよ。宝石みたい」
「あげーそう。どうでもいいさ。へーく決めろよ」
「どうでもいいって事ないじゃん」
「あーい。かしましいやっさ(うるさい)」
わんやわんやと言い合っていると、ジェラート屋のおじさんがケラケラ笑った。
「にぃにぃ、ねぇねぇ。ケンカしないでさ。仲良くね」
これなんか人気あんしがね、とおじさんが日に焼けた指で指したのは、スノウホワイト色のジェラートだった。
「これ、何味なの?」
聞くと、おじさんは真っ白な歯をこぼれさせながら教えてくれた。