恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「振られたっていうより……裏切られたっていうのかな」


「裏切られた?」


目をぎょっと見開いて食いついてきた悠真に、


「うん。元彼にも、親友にも。てか、親友って言えたのか。それすらよく分かんないんだけど。親友だって思ってたの、あたしだけだったのかもしれない」


人間関係って難しいよね、と苦笑いすると、


「確かめたんかね」


悠真はあからさまに目を反らしてうつむき、ぶつぶつと話し始めた。


「陽妃やぁ裏切られたって言うやしが。だあ、じゅんに裏切られたんかね」


「……え?」


やわらかな暑い風が悠真の髪の毛を揺らすと、耳元の赤いピアスがちらりと輝いた。


「本人の口から聞いたんか。じゅんにどうやったんかをさ」


「悠真……?」


「ちゃんと確かめたんかね、本人に。何か理由があったんかも分からねーらんかい。勝手に決めつけちょるやっさーけんにか(決めつけているだけじゃないのか)」


ぶつぶつ、ぶつぶつ。


悠真は地面をじっと見つめ、瞬きもせずにまるで小言を漏らすように話し続ける。


「根拠があんか。陽妃よー。何で裏切られたって言い切りゆんだしよ(言い切れるんだよ)。分からねーらんよ、ちゃんと確かめねーらんとさ」


その口調はまるで自分に問いかけるような。


自分自身に言い聞かせるような。


でも、自分を責めているようにも聞こえるのはどうしてだろう。


「誤解かもしれねーらん。向こうや何か理由があったんかもしれねーらんよ」


「ね……溶けちゃうよ……ゆう――」


「決めつけたらだめやっさー」


悠真の両手におさめられたカップの中のジェラートはみるみるうちに溶けて、


「陽妃よー。先走ったら、絶対、だめやっさ……絶対……」


濃厚なパステルイエローミルクになってしまっている。

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