恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「溶けちゃってるんだけど。ねえ」


「理由があったんかも分からねーらんからさ」


あたしの声にも、ジェラートが液体になってしまったことにも気付かず、まるで何かに憑りつかれたようにしゃべり続ける悠真に、


「悠真って!」


声を大きくすると、悠真はハッと現実戻って来たような顔をして「ごめん」と安堵の息を長く、長く、吐き出した。


「大丈夫?」


「いー。暑くて頭がおかしくなったんかねー」


うはは、と濁すように笑って、ジェラートが溶けてしまったことに気付いたのか、


「はーっさ! とけとるば!」


とひょうきんに笑い飛ばした悠真はいつもの調子に戻った。


「もったいないからさ、一気に飲みやっさー」


溶けたジェラートをぐいーっと一気に飲み干し、


「……さて、どうするかね」


悠真がベンチから立ち上がる。


「どうする、って?」


「もうお昼だしよ。陽妃、腹減ってないかね?」


「あ……減った……かも」


「かも、って何か」


「……はは」


「やさ。何か食べてから帰ろう」


たった今さっき見た悠真に、あたしは困惑していた。


たぶん。


あたしは知らず知らずに悠真のダークな部分に触れてしまったんだと思う。


……そんな気がする。


悠真にはダークな部分がある気がする。


こんなに明るいのに。


「やさ! 陽妃!」


太陽光線みたいに明るい笑顔なのに。


「ソーキそば、食べたことあるかね」


太陽のような明るいその笑顔の下に、悠真は一体何を抱えているんだろう。


「ない、けど」


「良い店があるやさ。行こう」


「……」


あたしはじっと悠真を見つめた。


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