恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
左耳の赤い宝石のピアスのことに触れようとすると秘密だってはぐらかしたり。


裏切りという行為に執着を見せた悠真が、妙に気になった。


「どうしたのか。陽妃?」


「あ、ううん。なんでもない」


悠真もあたしと同じような思いをしたことがあるのかもしれないって。


大切な人に裏切られたことがあったのかもしれないって。


本当にそう思ったし。


でも、まあいいか、あたしには関係ないことなんだし、って。


それくらいにしか思っていなかったのも事実で。


「それ、おいしいの?」


だけど、なぜか気がかりで。


妙に気になって。


「あ? なにか、ソーキそばのことかね」


変に気になって。


気になって。


気になりだしたら切りがなくて。


「うん。それ、おいしいの?」


でも、聞けなかった。


「聞いた事はあるけど。見たこともないから」


聞く勇気がなかった。


「まーさんど!(おいしいよ)あっ、やさ。うまいよ、最高さ! 行こう」


「うん」


とベンチを立った、その時だった。


「はーっさ! 悠真さ!」


「やさ! 悠真だしよー! 何やっちょるのかね」


通りの向こうからふたりの男の子たちが駆け寄って来て、


「ハイサイ」


よう、と手を上げた悠真の後ろに一歩下がったあたしを見て、やんやと騒ぎ始めた。

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