恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「誰か。この子」


悠真の友達だろうか。


学校の腕章が刺繍された白いワイシャツにグレーのズボン。


だらしなく、というよりは、制服をお洒落に着崩していて、悠真よりワントーン明るい髪を無造作にセットしている。


耳にはじゃらじゃらのシルバーピアス。


眉毛も細く整っている。


ふたりともあか抜けた外見だった。


「誰か。このちゅらかーぎ(可愛い女の子)。見かけねーらん子がぐぁーやさ」


「悠真よー。ついに彼女ができよったんかね」


と向かって右のAくんが小指を立ててひと昔前に流行ったようなジェスチャーをして、


「彼女やつくらねーらん、絶対つくらねーらん、て言ってたのにさ。先月で何人目だったか。C組の子、振ったやっさーろ」


うりうり、と悠真の脇を肘で小突く。


振ったんだ。


先月で何人目だったか、って。


やっぱりモテるんじゃん。


悠真。


でも、本当にどうして彼女いないのかな。


「ふらぁー(ばか)」


すると、


「違うさー!」


と悠真もAくんを小突き返して、あたしを指さしながら言った。


「これのどこがちゅらかーぎか。アバサーやんど!」


「「アバサー?」」


ふたりの視線があたしに突き刺さる。


「やさ! つんつんしはる、トゲトゲしはるしよ。こんなアバサーやぁ誰が相手にするかね」


むっかー。


人をアバサー、アバサーって。


あたしの睨みにも気付かずに悠真は続ける。


「わんや、彼女やおらんしさ、つくらねーらん」


つんつん、って。


トゲトゲ、って。


「アバサーやお断りさー」


げらげら笑う悠真を睨みながらむっとしていると、


「悠真よー、なに照れちょるんだしよー」


今度は向かって左のBくんが悠真の頭をバシバシ叩いて笑った。
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