恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「どこがアバサーか。ちゅらかーぎあんにか」


「やさやさ。美人やっさー」


ふたりがひやかすように悠真をサンドウィッチの具にして、右から左から脇腹を突く。


「やっっさーから違うんやしが。アバサーさ!」


またアバサーって言った。


ぶっきらぼうだけど人懐こくて、どこか憎めなくて。


けっこういいやつかもって思ってたのに。


やっぱり。


悠真なんて嫌い。


「……最低」


あたしは空になったカップをゴミ箱に叩きつけるように乱暴に捨てて、


「ひとりで帰る。ソーキそば食べない」


とじゃれあう3人に背を向けた。


「……え……陽妃?」


「平気。ターミナルまでの道くらい分かるから」


つっけんどんに返して、妙に納得した。


こういうとこ、なんだと思う。


こういうとこ、があたしの悪いとこなんだと思う。


なんで今頃、気付くんだろう。


どうして東京にいた時に気付けなかったんだろう。


大我の心がひかりに移ってしまう前に気付けなかったのかな。


「待ちなっさー、陽妃よー」


今頃気付いたってもう。


遅いのに。


もう、どうにもなんないのに。


「だから大丈夫だって言ってんじゃん!」


「やしが――」


「しつこいって!」


ほら、こう。


人の話を最後まで聞こうとしなくて。


勝手に頭にきて、止まらなくなって。


イライラして。


カリカリして。


「ひとりで帰れるから!」
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