恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「悪かったね、つんつんしてて!」


なんでいつもこうなんだろう。


ぜんっぜん、可愛くない。


つんつんしてるし、トゲトゲしてるし。


本当は辛くても、弱いとこ見られたくなくて。


プライドってやつが邪魔して。


何があっても平気な顔して。


見栄はりたくて。


こんなプライドも見栄も、要らないのに。


「どうせあたし、ハリセンボンみたいだもんね!」


別にこんなこと、言いたいわけじゃないのに。


「ごめんね、トゲトゲしてて!」


帰る! 、そう吐き捨てて踵を返し、


「はーっさ! 悠真よー! ちゅらさんに振られとるば!」


「嫌われよる!」


ギャハハ、と同時に笑ったAとBと、


「かしましいやっさ!」


怒鳴り返した悠真に背を向けて、あたしは一目散に歩き出した。


悔しくて。


イライラして。


情けなくて。


何より。


恥ずかしくて。


消えてしまいたいと思った。


「陽妃! 陽妃! 待ちなっさー!」


「……」


返事をせずに歩き続けるあたしを追いかけて来た悠真が


「陽妃!」


あたしの腕を捕まえた。


「もう! しつこいって」


その手を振りほどこうとして立ち止まり振り向いて、


「言ってんじゃ……」


言葉を飲み込んだ。


「ごめん!」


悠真が頭を下げていた。


「……なんで、悠真が謝んの……悠真、別に何もしてないじゃん」


頭を上げた悠真が「いや」と首を振った。


「もう、言わねーらん」


「……え?」


首を傾げると、悠真はあたしの腕をそっと解放して肩をすくめた。


「もう言わんからさ。もう、アバサーや言わねーらんからさ。ごめんね、陽妃」


傷付けてしまったよね、そう言ってもう一度「ごめん」と頭を下げた悠真の赤いピアスが、陽射しを跳ね返した。

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