恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
石垣島を出たのは18時半近くだった。
「与那星島にはさ、もうひとり、同級生がいたんやっさ」
離島ターミナルを出港して間もなくのフェリーのデッキのベンチに並んで座っていた悠真が、
「稲嶺亮介(いなみね りょうすけ)ていうやつやさ」
ぽつり……と、降り出したばかりの雨粒のように言った。
「……里菜の双子の弟やっさー」
「え……里菜って双子のお姉さんだったの?」
てっきり一人娘なのかと思ってた。
「いー」
こく、と悠真が頷く。
「亮介やぁ、わんの親友。小さい頃からいつも一緒やたん。ずっと、ずーっと。一緒に過ごしてきた」
そう言った悠真は目の前に広がる海を見つめて、そーっと、左耳のピアスに触れ、
「明るくてさ。優しくてさ。賢くてさ。とにかくお洒落でさ。いつか、東京に出てメンズモデルになるんが夢だったんやさ」
何かを噛み締めるようにゆっくりと、本当にゆっくりと瞬きをした。
「里菜も背が高いやしが、亮介は190もあった」
「ねえ、悠真……その亮介くんて、与那星島にはいないの?」
夕暮れに近づく傾斜のある陽光を受けて、水面が色褪せた鈍い琥珀色の光沢を放つ。
さっきまでは抜けるような青色が果てなく広がっていた上空は、もう、オレンジ色と金色が半々に混ざったような暖かい色に染まっている。
「一年前だしよ」
加速するフェリーのエンジン音にかき消されてしまいそうな声だった。
「亮介やぁ……ニライカナイに行ってしまったさ」
「与那星島にはさ、もうひとり、同級生がいたんやっさ」
離島ターミナルを出港して間もなくのフェリーのデッキのベンチに並んで座っていた悠真が、
「稲嶺亮介(いなみね りょうすけ)ていうやつやさ」
ぽつり……と、降り出したばかりの雨粒のように言った。
「……里菜の双子の弟やっさー」
「え……里菜って双子のお姉さんだったの?」
てっきり一人娘なのかと思ってた。
「いー」
こく、と悠真が頷く。
「亮介やぁ、わんの親友。小さい頃からいつも一緒やたん。ずっと、ずーっと。一緒に過ごしてきた」
そう言った悠真は目の前に広がる海を見つめて、そーっと、左耳のピアスに触れ、
「明るくてさ。優しくてさ。賢くてさ。とにかくお洒落でさ。いつか、東京に出てメンズモデルになるんが夢だったんやさ」
何かを噛み締めるようにゆっくりと、本当にゆっくりと瞬きをした。
「里菜も背が高いやしが、亮介は190もあった」
「ねえ、悠真……その亮介くんて、与那星島にはいないの?」
夕暮れに近づく傾斜のある陽光を受けて、水面が色褪せた鈍い琥珀色の光沢を放つ。
さっきまでは抜けるような青色が果てなく広がっていた上空は、もう、オレンジ色と金色が半々に混ざったような暖かい色に染まっている。
「一年前だしよ」
加速するフェリーのエンジン音にかき消されてしまいそうな声だった。
「亮介やぁ……ニライカナイに行ってしまったさ」