恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
『あん時、藍子の話聞いてたら何かが違っていたんやーやしが。逃げたくて逃げたくて。そんな余裕やねーらんたん』


――餞別なんか要らんし。それや藍子がもらうといいさ。わんやぁ要らねーらん


――待ってよ、悠真! 何でさ! 何で話、聞いてくれねーらんみ?


――……じゃあな


――悠真!


『わんや逃げるように店を出て、昼前のフェリーで与那星島に戻ったんさ。かじふち(台風)が来ちゃんや思っていたより早くてさ。午後には来ちゃん。夕方には上陸しちゃんさ』


――あいっ……電池が切れてしまったばぁ


『かじふちのせいで島中が停電になったんやさ。外やだんだん暗くなってきて、携帯は電池が切れよるし、充電やできんしさ。最悪やたん』


――悠真! 悠真! おるかね!


『そんで、かじふちん中、びしょ濡れの里菜が家に来ちゃんやぁその夜やたん』


――亮介や来ていないかね!


――……来てねーらんやしが


――どこ行ったんやんやぁー……悠真と一緒かと思ってさ、悠真と一緒におるかと思ってさ


『里菜んやつ、尋常じゃないくらい取り乱しとった』


――何かあったんじゃないかね! こんなことやぁ初めてやっさーもん!


――亮介……帰ぇって来てねーらんか?


――いー……携帯にもさ繋がらねーらん……ねぇ……ゆう……


『もんのすごい雷が鳴りよってさ、里菜が何言ってるのか分からねーらんくらいの雷が鳴りよってさ。』


――……悠真……今さ、今さ……今


『そん時やったん』

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