恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
『浜に行ったらさ、里菜が冷たくなった亮介抱きしめて、泣いとった』


――悠真……誰か、呼んで来てくれねーらんかね


『前日にさ、かじふちん中、浜ん近くん防波堤の上を歩いていた亮介を見た人がいたんやさ。急いで帰ぇーろうとしちゃんね。防波堤ん先にはさ集落までの近道があるからさ。警察やぁ防波堤からひさ(足)踏み外したんだろうって。防波堤にさ、亮介んサンダルが片方だけ残ってたんさ』


――これが亮介ん寿命やたんどー(だったんだよ)。生まれて来ちゃ時から決まってた寿命さ。やっさーから、ちゃーならん(仕方ない)。誰も悪くねーんだしよ


『火葬ん時も、葬式ん時もさ。そう言って里菜や泣いてばかりいたやしが』


――亮介やぁ15ん寿命やたんやっさー。じゃーじぃねみ?(そうだよね?)悠真み?


『あの日の朝、浜に打ち上がった亮介を見た時もさ。火葬ん時もさ葬式ん時もさ。ナダ(涙)なんか出ねーらんたん』


――悠真


『葬式ん後やたん。葬式に来ちょった藍子と話したんはさ』


――悠真、わっさんね(ごめんね)


――なにがかね


――亮介くんやさ、全部知っちょーたんだしよ。やしが、わんが口止めしちゃんから。それと、たぶん、悠真を傷付けたくねーらんたんだはず(傷つけたくなかったんだと思う)


『藍子や、妊娠していたんやっさー。わんのわらばー(子)じゃねーらん』


――亮介くんや“正直に悠真に言うべきさ”って言ってくれていたんやしがね。わんや、なかねえか(なかなか)言えずにいたんやっさ


『わんと付き合う前にさ、藍子や年上ん家庭教師と交際していたんやしが。わらばーやぁそんいきがー(男)のやたんやっさー』


――彼に話しちゃんらさ、やり直そうって。ニィービチさびら(結婚)しようって


――そうかね。東京の大学や?


――行かねーらんことにしちゃん。彼さ、大阪ん会社に就職が決まったんやっさー


――ついて行きよるんかね


――うん。高校卒業しちゃんら那覇で出産して、そん後、わんも大阪について行ちゅん(行く)

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