恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
黒い巾着を見つめていると、次第に、じわじわと目の奥が熱くなった。


「……海斗が……これ」


この島に来てから、どれくらい、海斗に救われていたのか。


こんなふうにならないと、そんな事にも気付けないなんて。


あたしって、本当のバカだったんだ。


――なんくるないさあ、陽妃


――約束するよ。おれは裏切らん


――どんなことがあっても、おれが陽妃のそばにいるさあ


手を、差し伸べてくれた。


――もしさ、おれが人間じゃなくてスーパーヒーローだったらさ


――陽妃に襲いかかってくる悲しみから、陽妃のこと……守ってやれるのにね


どうしようもないあたしを、受け入れてくれた。


――ちばりよー、陽妃


背中を、押してくれた。


――陽妃はおれより年上だし大人かもしれん。でもさ、その前にひとりの女の子だに!


誰も分かってくれないって、諦めていた。


どうせ誰も気付いてくれないって、諦めていた。


でも、分かってくれた人がいた。


気付いてくれた男の子がいた。


大人のお父さんでもお母さんでもなくて。


それは。


――こん熱は、陽妃のSOSさ!


出逢って間もない、年下の、綺麗な瞳の男の子だった。


海斗、だった。


「陽妃ぃー」


開けてみよーさい、とおばあに促され巾着の口を開けてみると、


「……きれー」


それは、不思議な携帯ストラップだった。


「蛍みたい……」


海に浮かんでいる浮きだまをモチーフにした形のそれは、あたしの手の中で、蛍が放つようなこんもりとした明りのように、弱弱しく光った。


その光はまるで、海斗が放つ優しい色だった。


透明な、水色。


「不思議だね、これ。なんで?」


淡く、水色にぽうっと発光する石を覗き込む。

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