泣き顔にサヨナラのキス
バサッと読みかけの経済新聞が頭の上に落ちてきた。
見上げると原口係長が横に立っていた。
「昼、外に行かないか?」
「えっ?」
もう、そんな時間?辺りを見回すと、ゾロゾロと列を作って皆外に出て行くところだった。
「ぼんやりしすぎなんだよ、お前は」
「すみません」
「いいから行くぞ」
原口係長はそれだけ言うと、あたしを待たずに先を歩いていく。
お財布とハンカチだけを持って後を追いかけた。