泣き顔にサヨナラのキス
  

野上さんは黒地に薄紅色の桜、あたしはベージュに撫子の浴衣姿。

これじゃ、どうみてもダブルデートだな、なんて自嘲気味に笑ってしまった。


駅からは人が吐き出されるように溢れて出て、立ち止まってばかりも居られない。

そのまま流されるように四人で歩いていく。


自然と野上さんと孝太くん、あたしの隣には田中君と二列に分かれていた。

最初からわかっていたことだけど、何となく、やっぱり気まずい。


あたしが黙っていると、田中君は会話が途切れないように話しかけてくれる。

普段無口なのに、あたしを退屈させないように頑張ってくれているみたい。



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