泣き顔にサヨナラのキス

   

「今日は、奢ってやる。黙って着いてこい」


「雨降らないですかね?」


「お前な」


原口係長はあたしを睨むと、コートを手に足早に事務所を出ていった。



エレベーターぐらい待っててくれてもいいのに。


そう思いながら、慌てて追いかけると、大通りで丁度タクシーを停めたところだった。



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