イジワル王太子と政略結婚!?
『きっと私たちのことを心配したお母様がいざなってくれたのよ。
絆を深めるためにね』

『…そうかもしれないな』


シーナが私の肩に手を置いて、優しく微笑む。



『まぁ、王妃が心配してたのはお前だけだと思うけどな』

「……それは言わないで」


こればっかりはシーナの言うとおりかもしれない…。

目をそらす私に、シーナが何かを差し出した。



『これからも大変だけど頑張ってくれよ、王妃』


手に取ってみると、王冠と同じ紋章が入ったブローチだった。

王族のブローチは意外と重くて、胸に付けると責任の重さを実感する。



『…ご心配なく!』


しっかりとシーナの目を見て、自分自身にも誓うように宣言した。



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