ドラマチックスイートハート
着いた店は、スタジオからさほど遠くない焼鳥屋。
まだ夕方くらいなので、客も疎らである。
コソコソ……
2人で居るのが、バレたらマズい。
翌日の週刊誌に飾るようなマネは出来ないので、なるべく店員とも目を合わせないように石垣は俯く。
こんな、秘密主義もへったくれもないような安そうな店。
レストランとは違い、何でもベラベラと喋られる危険性がある。
なるべく目立たず、なるべく隠密に……
それを、呆気なく破る声が聞こえた。
「よーー!! ユウ坊!」
その声は、カウンター越しに聞こえた。
見ると、焼き鳥の煙にまかれながら、太い腕を出した頑固親父風貌の店主が手を振っている。
「こんばんは、おじさん♪」
天崎は笑顔で返答し、手を振り返した。
続いて天崎の「今日空いてる?」
この一言で、店主は粋のいい声を出した。
「当たり前よ! 予定入っててもユウ坊の為ならキャンセルしちまうって事よ!」
「ふふっ。それだけはしないでね」
その会話のやり取りで、天崎はズンズンと奥に入っていく。
「お、おい……」
ついそんな口調が出たが、彼女の耳には聞こえなかったか、奥へと連れて行かれる