ドラマチックスイートハート
だいぶお腹がすいていたのか?
自身の体の事なのに、いざ食べ物を目の前にすると、胃袋から早く入れろとクレームが来ていた。
「じゃあ、いただきます」
手を合わせて、律儀に食事を開始する。
これは友人同士でもする行為なので、敬うなと怒られる事ではない。
「私も。ああ、美味しいわ」
流石、店主も言わなくても天崎が何で喉を潤すかよく分かっているだけあり、満足そうに飲んでいる。
場所が場所だけに雰囲気も出ないが、バーのカクテルのような『マスターいつもの』と言わんばかりの対応だった。
相当仲が良くて、ここに通い詰めてないと出来ない芸当だ。
「この店は……よく来るんだ? 意外だな由奈はもっと高級ホテルのバーとか行ってるかと思っていたよ」
すると、天崎はクスクスを笑顔を見せてくれた。
「ほら。やっぱ理想を描いている。
私だって普通の人間よ。愚痴も出るし嫉妬もするし、悪口だって言うかもしれないわよ?
ただ演技が出来るってだけで、周りは神の如く崇めるんだから。困っちゃう」
とても大女優のセリフとは思えないが、やはりまだ石垣にとっても位が上と言うのを無意識的に感じているらしい。
早く慣れなくてはいけない。
その為に少しずつ彼女を理解しようと、次々と会話を進めていった