ドラマチックスイートハート
小話に花を咲かせること2時間。
話のネタも食事も切れてくる頃合いだ。
そんな所へ丁度良く、店主が入ってくる。
「ユウ坊。今日はイチゴだぞ」
そう言って出されたのは、居酒屋には相応しくないイチゴパフェ。
明らかに、天崎専用のデザート。
この店のメニュー表を見ても、明らか存在しない。
「コウも食べる?」
「いや……俺は甘いもの苦手だからいいよ」
それだけ隣で確認すると、店主は気をきかせて出て行った。
これだけ天崎の事知ってるなら、いろいろと話したい事もあろうに。
「このパフェだけは絶品だわ♪ ……ここのおじさん、よく分かってるでしょ? 以心伝心なの。誰を連れてきても何も言わないし、こう言う職業柄な私の気持ちは理解してくれてるの」
見ていれば分かる。
だから天崎も、自然とここに足を運ぶと言う事も。
「そろそろ行こっか? コウもだいぶ慣れてきたみたいだし」
格好つかないが、励ましてもらったりアドバイスも受けたので、何とか気持ちが落ち着いて帰れそうだ。
「じゃあ行くか。今日は付き合ってくれてありがとな、由奈」
感謝の気持ちを込めて、天崎の行き着けの店を後にした