ドラマチックスイートハート

シーンは変わり、ビルの路地裏にコウは佇んでいる。










誰かを待ってかのように、ただただジッとしていると、そこに声がかかった。











「こんな所で待ち合わせなんてヤボじゃない? 喫茶店にも入れないなんて、そんなにあの子の不安材料は排除したいの?」










現れたのは女。

しかも、格好が由奈の言っていた見知らぬ女と一致している。










「本美……お前だな? 由奈に変なちょっかい出したのは……何が目的だ?」











どうやらこの女性はコウの方の知り合いで、目的の真意を探るため呼び出しをしたのだ。











女はタバコに火をつけると、一服してから語り出した。











「アナタが好きって言ってるだけじゃないさ。ただあの子に資格がある? 自分の過去から逃げるような子に」











含み笑いをし、その企みを吐き出した。










「だから、由奈にあんな事を? そんな物で俺がアンタの物になると? 同じ職場としてもずっと気になっていたが、一体何者なんだお前は」










本美は仲の良い後輩の1人。

皆、下の名前で呼んでいるので、特別何の関係も感情もないが、一度告白を受けたことがある。










当然断りの返事を出し、それで終わったかのように見えたが、それ以来彼女は人が変わってしまった。











「こんないい女を振るなんてさ」










絶対的な自信があった彼女は、由奈と別れさせるように様々な細工を仕掛けてくるようになった
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