月luna~眠れる王子と最後のキスを・・・~


 病院のベットで寝ている晃さんは元気で、そんな晃さんを見てホッとするべきなのに・・・。

 晃さんが本当に入院しているんだという事がショックでホッとするどころか、よけいに不安になった。

 それでもまだ信じたくなくて、それが本当に晃さんなのか確かめようと足は勝手に晃さんに近づいていく・・・。

 心臓はもう動く音すらしないのに頭はガンガンして、

 意識は朦朧としているのに足は確実に進んでいく・・・。

 勝手に進む足はそこに居るのが晃さんでないと言い訳が出来ないほど近づいて、やっと止まってくれた。

 そこまで近づくと、いつの間にか驚いた顔でこっちを向いていた晃さんに気づいた・・・。


『・・・何でここにいるの?』


 何も言えずにただ固まっていた私は、晃さん言葉を聞いて初めて思い通りに体が動た・・・。

 思いっきり部屋のドアを開けて、振り向く人達の横を走り抜けた。


 〈何でここにいるの?〉

 その言葉と、驚きからではない晃さんの歪んだ顔・・・。


 私がここにいる理由・・・?


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