先生と生徒
「何がですか?」
「や、泣いてるから…」
自分では無意識なのだろうか、涙が伝っていた。
慌てて涙を拭き取り、"大丈夫です"と笑って見せた。
「無理はするなよ?」
と、一瞬だけ抱き締めてくれた。
「…はい」
フワッと鼻に漂った先生の香り。
それがまた、愛しくてたまらなかった。
「じゃあ、親御さんによろしくな」
「はい。ありがとうございました」
窓越しに会話をする。
もう外は真っ暗。
「じゃあまた明日学校で」
先生の言葉を聞いてから、走り行く車を見送った。
真っ暗な闇に消えるまで。
見えなくなるまで、見届けた。