ありがとう、さようなら
そういう父は、普段は見せない厳しい表情をしていた。
私の口からは、ふと溢れていた。

「…親友だったの」
「……」
「笑顔が可愛くて、話すと楽しくて。
優しい子だった。」
「…ああ」
「せめて、私には相談して欲しかった…」

それ以上言うことは、できなかった。
家に着くまで、車内は私の嗚咽と車の微かなエンジン音が響いていた。
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