白銀の女神 紅の王Ⅱ


そんなことを考えていた時―――

兵士が連れて戻ってきた者に俺たちは驚いた。

麻でできた紺色の労服を着てこちらへ近づく者。




「お前は……」

「久しぶりだな」


兵士たちを掻き分けてきたのは、フォレストの元部下“ジェス”だった。

口元に浮かべる憎らしい笑みと俺を睨みつける様な視線は変わっていない。



出逢った時からコイツのこの笑みが嫌いだった。

外見は物腰柔らかそうな青年の風貌だが、ひとたび手を反せばこのざま。

この多面性でエレナを騙していたかと思うと虫唾が走る。





「俺に何の用だ」


自然と低くなる声。




「聞きたいか?」


今は労役に服しているにも関わらず、俺に対する態度は相変わらずだった。

挑発的な視線に耐え変えたのはウィルだった。




「貴方の目の前にいるのはこの国の王ですよ。口のきき方には気を付けて下さい」


諌める様なウィルの言葉。

しかし、ジェスはフンッと鼻で笑って答える。



< 165 / 300 >

この作品をシェア

pagetop