LOVE*PANIC
アルコール独特の感覚が喉を滑り落ちていくその時、ねえ、という声が一歌の耳に届いた。
一歌はグラスを口から話し、声のした方に顔を向けた。
そこにいたのは、なんと修二だった。
何故、修二がここに、と一歌は首を傾げたが、すぐに、ああ、と思った。
竣平が売れるきっかけとなったのは、修二主演の映画の主題歌だったのだ。
一歌は修二の顔を見て、その記憶を脳の隅から引っ張り出した。
だから、彼がここにいるのはなんら不思議はない。
薄暗い中でも、修二の顔はよく整っているのが分かる。
修二はすました顔で一歌の隣に並んだ。
「竣平君の知り合いなの?」
修二は癖のある甘い声で一歌に尋ねた。
「……事務所の後輩なんです」
「え? 何?」
一歌の声が小さかった為か、それとも会場が賑やかだからか、一歌の声ははっきりとは修二には届かなかった。
「事務所の、後輩なんです」
一歌は先程より、うんと大きい声を出した。
「ああ成る程ね」
今度はきちんと聞こえたらしく、修二は一人で納得したように頷いた。
そして、ゆっくりと一歌に笑顔を向けた。
「でも、こんなところで逢えるなんて、運命だね」
一歌の中の修二は、そんなににこやかなタイプではないので、その笑顔に多少の違和感を覚えた。
「ただの偶然です。共通の知り合いがいるなら、有り得ない事じゃありません」
一歌は修二とは反対に、にこりともせずに答えた。