月物語2 ~始まりの詩にのせて~



「勝手ばかりしよってからに。
当然じゃ!」



「なにを言う。
彼はいつも民のために動いているではありませんか。」



「楊太僕なら、王宮でも仕えられる。
それを敢えてしないことの意味がわからんか!」



「そうはいっても、非礼極まりないことも多い。」



「主上の即位式も欠席したしな。」



ああそうか、と礼は思い出した。



即位式に顔も出さなかった男。



先ほど、朱雀から楊震については聞いていた。



民のために、齢七十で国中を駆けずり回っているという。



近年は、子州で立て直しを行っていた。



楊震はきれい事を並べるだけではなく、自らが先頭に立ち、行動を起こす。



そして、鮮やかな結果を残していた。



その功績を讃えて、王たちも彼の言動にある程度目を瞑ってきた。



当然、高官たちには面白くないと思うものもいる。



寵愛を受けているようなものなのだ。



明道は、後ろで飛ばし合っているヤジなど、耳に届いていないかのような顔をしている。



明道の目は、しっかりと礼を見ていた。





< 45 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop