月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「明道。」
礼が口を開くと、しんとなった。
礼に、緊張が走る。
「望んでいることは、何だ?」
一部の高官たちがひきつった顔をしている。
王が、明道の話を聞くのが、嫌なのだろう。
だが、今は聞くだけだ。
わからない、とは言えないから、どうして欲しいのか聞く。
聞き入れるかどうかはそれからだ。
明道は頷くと、はっきりとした声で、半ば叫ぶように言った。
「軍を、軍を動かしていただきたい。」
ほう、大胆な、と衛青太尉は思った。
「なっ、軍だと。まさか禁軍ではあるまいな。」
「赤宮の軍を動かすというのか。」
「楊太僕を助けるのなら、それぐらいする価値がある。」
「しかし、あれは主上の軍だ。」
高官たちは煩わしい。
「子州にも、州軍がいるであろう?」
無知を示す礼の発言にも、明道は眉一つ動かさない。