月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「子州は砂漠地帯です。
軍が簡単に動けないことを利用して、あちらこちらに賊徒が巣を作っております。
今配置している兵を動かすわけにはまいりません。
すでに、壊滅させられた村や町も多いのです。
それに…」
明道は口ごもる。
「いえ、とにかく、今のままでは楊太僕どころか、子州の民を見殺しにすることになりかねません!」
「口を慎め!」
それまで黙っていた朱雀が、声を荒げた。
明道が初めて表情を動かした。
何かいけないことを言ったのだろうか。
礼にはわからない。
だがそんなことより、礼は何も知らない自分を恥じていた。
明道は心の中で呆れているのだろうか。
「軍は、動かせるのか?」
礼は、衛青太尉に問う。