どうして?


そう話し終えると、目の前のコーヒーを口に運んだ

ゴクリと飲むと、またカップを元の場所に戻し外の景色を見つめた

外は冬を終え、もーすぐ春を迎えようとしている
歩く人たちの服装も、
こないだまでは背を曲げていたのに
今はもうのびてる。

「…その彼女さんとは…?」

目の前の女の人がそう俺に心配そうな目をしながら聞いてきた。

「高校3年くらいだったかな?
久々に会って、その日からはよく会ったりメールしたりしてたな。
…けど、あいつに彼氏が出来てからは、
素直になれない自分の気持ちが空回りして、また喋れなくなってたけど。」

少し苦笑いをしながら彼女を見ると、目には大粒の涙がこぼれていた

俺は驚いた…

「…ごめん。こんな話…」

「いえ、こっちこそごめんなさい。」

キレイな手で涙を拭う、
その手の指には婚約指輪がされていて、
俺はサっと目をそらした。

「彼女とはそれっきり?」

「…いや、空回りした気持ちが…最低な事しちゃった。」

「…?」

「キス…したんだ。アイツに。」

彼女は驚いた顔をしている
俺はその表情を確認してから、話を続けた。
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