鳴神の娘

ほんと言うと、怖かった。


だって乗せられた馬上から、この人の手が何人も葬ったのを見てたんだから。


彼は一瞬目を見張り、ついで私に微笑みかけた。


「・・・私たちは、あなたに危害など加えない。だから」


と、体が浮き上がった。


正確には、持ち上げられた。


「え? え?」


そして仕切りの外へ運ばれた。


「おお、美しい白金の髪でございますな」


いえいえ、おじいちゃんの白髪のほうがお見事です。


「この瞳も、菫のようで何とも言えませぬ」


いえいえいえ、ほんとは貴方と同じ焦げ茶なんですよ。


私の髪と目、ほんとにどうしちゃったの?


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