彼岸と此岸の狭間にて
「だって俺の家族、俺を除いて全員『餅大好き』人間ばかりだもの」                 
「はははっ、お姉さんの『弥生』さんもか?」                 
「そうだ!弟の『友也』ときたら一年中『餅』でも良いと抜かしやがる。だから、三が日で飯を食うことは殆どない!」                
「コンビニの弁当は?」             
「葵〜っ、家族揃って食事している時に一人だけコンビニの弁当を喰うというのは虚し過ぎないか!?」             

「そうかあ、じゃ、うちで飯食っていくか?」               
「マジで!?」                 
「でも、『雑煮』かも…」            
「てめぇーっ!!」                           
赤沢とふざけ合いながら待つ事、30分。ようやく、葵達の順番となった。                          
「葵、いくら入れる?」             
「今年は受験もあるから500円!」                   
「太っ腹!俺も奮発して200円!」                                
二人並んでお金を賽銭箱に放り入れ、交互に鈴を鳴らす。そして、手を合わせてお祈りをしようとした時に葵は賽銭箱の下の方にある文字に気付く。                 
(享保10年 『土門重吉郎氏』寄贈……こ、これは??)                       
お祈り事ではなくなった。            
「赤沢!」                   
赤沢はお祈りを始めたばかりだった。                   
「何だよおっ!!」               
「悪いけど急用が出来た」            
「えっ!?」                  
葵は赤沢を置いて神主の住居に向う。
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