彼岸と此岸の狭間にて
「僕のお父さん、お母さん、そして僕と美優の名前まである!何ですか、これは?」
同じ言葉しか出て来ない。
「う〜ん、何なんだろうね?」
「長谷部さんの所は…!?」
3番目の『長谷部家家系図』を見る。
「あれっ?」
一番最初の名前が『長谷部一徳』となっているが、一番最後が『長谷部徳蔵』で終わっている。
「父の所で終わっているだろう!?私の名前は『洋介、長谷部洋介』と言うんだけど父の後に書かれていない。
昨日の夜、この事について親戚、兄弟で話し合ったんだけど誰も知らなかった…だから本当に何も知らないんだよ」
「そうなんですか?…他の『菱山、土門、山中』という名前についてはどうですか?」
「心当たりがないんだけど、この『土門家』は多分、この地区の財閥の『土門グループ』の事じゃないかな、って!?」
「土門グループ!?」
「何か知ってる?」
「ええっ、幼なじみがいるんです」
『土門家家系図』の最後の方を見る。
(いた!!『土門香澄』の名前が載っている)
「どう?」
「ありました」
「ということは、この『土門家』は『土門グループ』の事で間違いないわけか!となると残りの『菱山、山中』も実在しているということか!?…そうなるとこの『菱山隆道』だけど…」
『菱山家家系図』の下段辺りの名前を指差す。
「はいっ!?」
「もしかしたら衆議院議員の『菱山隆道』かも!?」
「衆議院議員…ですか?」