彼岸と此岸の狭間にて

祖母がタオルを葵と美優に渡す。                     
「あれっ、そんなに雨音がしないね!?」                     
「でしょう!?最初はお祖母ちゃんも驚いたのよ。『わら』が雨音を吸収してくれるみたい」                  
「ふう〜ん!?」                
玄関は土間である。上がるとそこには囲炉裏(いろり)がある。                   
「築何年くらいなの?」             
「さあねぇ〜っ!?廃墟同様の物を安く買ったから詳しくは分からないけど…築2、300年程じゃないかしら!?」                                           

体を拭き終えて囲炉裏の側に腰を下ろす。                 
「寒い?寒かったら火を起こすけど…」                  
「俺は大丈夫!」                
「私も平気!」                 
「そう。じゃあ、お茶煎れるわね」                    
祖母が台所に立った頃、祖父が外から戻って来る。             
「いやあ〜っ、凄い降りになった…」                            


体を拭いて囲炉裏を挟んで葵の前に座る。

           
「今日は泊まっていくのか?」

「いや、夜には帰るよ。俺は明日友達と約束があるし、美優は部活があるから…」              
「美優は今、中二か?」

「そうだよ、お祖父ちゃん」

「葵、お前はどうするんだ?」

「大学行こうとは思っているけど、やりたい物が見つからなくて…」

「そうか。まあ、悩めるのも若いうちだからしっかりと悩め!」                               
外の雨は一層激しさを増し時折雷さえも鳴り出していた。
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