オパール・オッドアイ
紫陽花の変化
梅雨に入り連日の雨のせいで私の弟、琥珀(コハク)はイライラしていた。

「ぁあ~~~っ!!!
ジトジトうぜ~!
いつまでも降ってるから外出れねぇじゃねえか。
ストレス溜まって死ぬわ!
あ~う~あ~!!」

「五月蝿い。」
ドスッ。

暇を持て余して喚く琥珀の頭の上に濡れた洗濯物がぎゅうぎゅうに詰まった洗濯籠を引力にまかせて勢いよく乗せる。

思っていたより良い音がでてびっくりだ。

「痛っ、てか重っ!!
姉ちゃん、首痛い!
徐々にみしみしいいながら曲がってきてる!
ヤバいっ!!」

確かに徐々に洗濯籠が下がっていく。
本当に病院送りになるまえに解放したほうが良さそうだ。

「あー、首の骨が逝くかと思った。
よくそんな重いの持ち上げられたな。」

「反動で持ち上げたの。
ここまでは引いてきたんだ~。
ほら、籠の下にタイヤ付いてるでしょ?
これがあると洗濯楽々ね!」

「…はぁ~。
また雪夜兄さんに買ってもらったの?」

あ…。呆れられた。

「あんま何でもかんでも買ってもらうな!って言ってるだろ!!」

「だ、だって私別にねだっているんじゃないんだよ!?」

「じゃあ、何で今時の若い女が好みそうな小物から、主婦が喜びそうな生活便利グッズまで姉ちゃんがいいな~って言った順に揃っていくんだよ!」

「うっ!
そ、それは…その…雪お兄ちゃんと世間話をしているうちについ、ね?
ポロっと…。」

「で?
断ってもなんだかんだ言いくるめられて?
姉ちゃんも本当にほしい物だったから本気で断らなかったり?」

「はい…。」

「はぁぁ~。」

「うぅ。」

琥珀の重いため息がいつの間にか正座の状態になっている私の頭にのしかかる。

気がつくと立場が変わったり戻ったり。
これが私たち兄弟のスタイル。
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