オパール・オッドアイ
人魚の鱗
次の日の朝ご飯はベーコンエッグとトースト、サラダにジャムつきヨーグルトだった。

「そういえば今日こそ海に行こうと思うんだけどみんなは?」

「俺も行く。
姉ちゃん一人で行かせたら溺れそうだし。」

「俺も行くよ。
昨日は釣りだけだったし。」

「当然俺も行きます。」

「るーちゃんとも遊びたいんだけどダメ?」

「ですから私は使用人の身ですので…。」

「…。(じ~。)」

「お仕事も残っておりますし…。」

「…。(うるうる。)」

「あ~も~っ!
チワワみたいな目で見てくんなや!
なして当然の事しか言うてへんのに虐めている気分にならなあかんの?
皿とか洗ったりせなあかんねんて~。」

「私もやるから~。
構ってよ。ね?」

「天然もんで魔性の女やな…。
これじゃあ苦労するわ。」

男性陣がウンウン頷く。
私はわけがわからない。

「?」

「まあ、ええわ。
構ってやるけん、後でしっかり手伝いや~?
あと祖母様には内緒にしといてな!
バレたら海に沈められてまうわ~。」

「絶対言いません!
お手伝いもちゃんとします!
ありがとう、るーちゃん~。」

「懐くな!暑苦しい~。」

「え~?嬉しいんだもん。」

えへへ~と笑いながらるーちゃんに抱き着く私。
満更でもなさそうだったのでしばらく引っ付いていた。
後でるーちゃんに聞いた話では羨望と嫉妬の視線が男性陣から痛いほど注がれ、優越感に浸れて気分良かったそうだ。

ペットが自分以外に懐いて面白くないみたいな状態だろうとのこと。

私は誰のペットでもないと抗議すると
『だからあくまで《みたいな》やって~。
実際の気持ちは本人達にでも聞いてみればええんとちゃう?』
とカラカラ笑われてしまった。

何となく本人達には聞きたくない。

生暖かい眼差しでみつめられた挙げ句頭でも撫でられそうだ。

「みんなで私を馬鹿にしてない?」

「大事にされてるやん。
自分鈍いな~。」

「そうかな?」


そんな話をしながらるーちゃんと水着に着替えた。
< 37 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop