オパール・オッドアイ
良い弟すぎて隠し事が出来ないのも難点だと思う。

「…大人しく寝ときます。
氷嚢ありがとう、助かる。」

「もう少ししたら消化に良い物をお持ちしますのでそれを食べたらお休みくださいね。
顔色が優れないのもそうですが、あまり寝ていないでしょう?
目の下にくまが出来てしまっていますよ?」

「うっ…。
そんなに酷い?」

「死にそうな顔してます。」

「すぱっと縁起でもないこと言わないでよ…。」

「そう思うなら早く完治下さいませ。
明後日には近くの神社で夏祭りがございます。
夜には花火も上がりますよ?
行きたくないのですか?」

「うそ!行きたい!!」

「あら、本当にお元気になられましたね。」

「?」

「お祭りとか大好きだから教えてあげて?
元気になるから。
と雪夜様が。」

「雪お兄ちゃんまで…。」

クスクスと笑いながら出ていくるーちゃんを見送ったあと氷嚢を当て直して目を閉じる。

冷たさがとても気持ちいい。

異常なまでの眠気が襲ってくる。

るーちゃんが私のためにごはん作ってくれてるんだから起きてなきゃ…。

そう思いながらも結局睡魔には勝てず夢の中に落ちていった。
    ・
    ・
    ・
幼い頃よく見ていた夢をみた。

ふと気がつくと知らない場所にわたしは居て、周りに居る知らない人達のどろっとした興味のオーラに鳥肌をたてる。

時間が経つにつれ人数が増えていき濃度が高くなっていって、しかも徐々に近づいてくる。

「嫌だ!
気持ち悪い!
お願い、近づいて来ないで!」

オーラに溺れそうになりながら必死に逃げ道を捜してやっとみつけた隙間からなんとか逃げ出す。

でも後ろを振り返ればすぐのところにもう追っ手が来ている。

嫌、嫌、嫌だ!!

捕まりたくない!

誰か、助けて!

ボロボロ泣きながらひたすら走る。
振り返る時間さえ惜しい。


おかしい。
前ならもうそろそろ目が覚めていたはずだ。


その時、前を歩く人影をみつけた。

私のよく知る人達。

雪お兄ちゃんにうさぎだ。


< 48 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop