『霊魔伝』其の弐 火の章
かすれた笑い声を発すると、白狐老は再び歩き始めた。

零次朗と小太郎もその後ろに従った。

社殿の前で立ち止まると、何か呪文のようなものを唱え始めた。

《オン・ソハハンバ・シュダサラ・バタラマ・ソワハンバ・シュドカン。》

白狐老は両手を軽く合わせて、零次朗の額、両肩、胸、喉に当てた。

すると、零次朗は身体が軽くすっきりとなるのを感じた。

《これは、修行に入るために心身浄化をする行法である。これから何かを行うときはまずこれで身を清めなさい。》

「はい。わかりました。」

社殿の入り口が音もなく開いた。白狐老は入り口に立つと、零次朗の手をとった。

《これから、この中でこの結界の主人に会わせる。その主人の許可がなければ、この結界に留まることはできないし、ここから出ることもできない。姿は目では見えない。心で感じることで、その姿がわかる。それと自分の心を偽ってはならない。偽れば心が曇り、真実が見えなくなり、この結界の中で自分を見失ってしまう。では、ついてきなさい。》

「・・・。」

零次朗は、言葉にならない返事をした。

入口を越えたとき、何かがいると強く感じた。
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