『霊魔伝』其の弐 火の章
零次朗と小太郎も後を追って社殿を出た。

社殿を出ると外は夜になっていた。

「あれ、ここに来たときは朝だったのに、もう夜になっている。そんな長い時間この中にいたのかな。」

《ふぉ、ふぉ。ここはこういう場所だ。時間はあるようで無い。あまり気にするな。それに囚われると、現世の時間が多く過ぎることになる。時間を超越すれば、この結界の中でどれだけ長く居ようと、現世では瞬きする程度の時間しか流れない。ふぉ、ふぉ。》

「頭では理解できそうでも、難しいな。」

《零次朗、気にしないことだ。時間に囚われないことだ。》
小太郎は耳元で囁いた。

すると、白狐老も続けていった。
《その通り、頭で計算しても無駄なのじゃ。感じるのじゃ。時間の流れとは何かを感じるのじゃ。》

「そう言われても、まだこの結界そのものの空気が読めないよ。何かしっくり来ないんだよな。」

《慣れるよそのうち。》
小太郎はそう言うと、白狐老の後を追った。

「ちょっと待ってくれ。」
零次朗は二人に追いつこうと、小走りになった。

白狐老は社殿の横に並んでいるいくつかの小さな社に向かった。

数えると五つある。

白狐老はその中のひとつの前に進み、振り向くと言った。
< 14 / 57 >

この作品をシェア

pagetop