『霊魔伝』其の弐 火の章
歩いていくと村が見えてきた。
村といっても十件ほどの建物が並んでいるだけだった。

《村が見えてきただろう。一番大きな建物が村長の家。まず挨拶に行く。
そしてその隣に立つのが、闘技場に出る者たちの宿舎。霊魔も人も一緒だ。
言い忘れていたが、この世界では、霊魔も人も単なるエネルギー体として存在しているだけだ。
いわば魂のような存在なんだ。零次朗の実体は、金の社の中にある。
だからといって、ここで受けたダメージは実体に反映されるから、無理をするな。》

「わかった。注意しよう。でも、この身体が魂だなんて気がつかなかった。」

《取りあえず、村長の家だ。いいな、零次朗。》

村にはいると、霊魔が沢山いた。中には見たことのある霊魔もいたが、初めてみるタイプも多かった。

村長の家の前に立つと、深呼吸をひとつした。

「ごめんください。村長はいますか。」

零次朗が声をかけると、中から若い女性の声がした。

《はい。今行きますので、少しお待ちください。》

しばらくすると扉が開いた。でてきた女性を見て驚いた。
彩花にそっくりだった。

「彩花・・・。」

彩花似の女性は、にっこり笑って言った。

《なんでしょう。村長にどんなご用でしょうか。》

零次朗は言葉を失ってしまった。
すると、小太郎が代わりに答えた。

《しばらくここで修行をしたいので、許可を願いたい。それを村長に告げに来たのだ。村長はいらっしゃるか。》

《今村長は闘技場に出かけております。いつ戻るかは、ハッキリしません。今開催されているコンテストが終了されるまでは戻らないでしょう。
登録は、私がしておきますので、宿舎の方でお休みください。村長が戻りましたら、お知らせします。登録は二人でよろしいですか。》

《それでお願いする。零次朗、何か言え。》

「そ、それでお願いします。」
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