『霊魔伝』其の弐 火の章
「でも、俺は奴の姿を知らないぞ。真実の見分けがつかない。」

《大丈夫です。この鏡に映る姿に、名前を聞けば良いのです。
もし敵意を持った霊魔なら、名前を答えないか、嘘の名前を言います。そうなれば、この鏡に本当の姿が映し出されます。
本当の名前を言えば、零次朗殿と信頼関係を結ぶことになり、零次朗殿を傷つけることはできません。》
ドハンバはそういうと、バラダハンに言った。
《零次朗殿を村に連れて行こう。その方が安全だ。》

《そうだな。零次朗殿、村に戻りましょう。そして村長にこのことを報告しなければ。》

「わかった。戻ろう。小太郎それで良いか。他に良い考えがあれば、教えてくれ。」

《それが良いと思う。おそらく、闘技場に出ていた連中も、戸惑っているだろうから、何処かで秩序を取り戻さなければならない。村長の下に急ごう。》

零次朗たちは村へ向かった。

村への道に出ると、闘技場から村に向かう霊魔たちに出会った。
零次朗は霊魔たちが口々に話している内容を聞いて、状況が少しわかった。

祠の封印をはずした霊魔がいるという。
封印をはずすカギがこの世界に持ち込まれ、そのカギが使われた。
闘技場にはその霊魔の仲間が入り込んで、この世界を支配するための準備をしているらしい。

どの霊魔も、疑心暗鬼になっているようだった。

気がつくと、村の入り口まで来ていた。

検問が設けられ、霊魔たちが調べられていた。

零次朗も検問を受けた。
いくつかの質問と、波動を調べられた。

村長がやってきて、零次朗に言った。
《零次朗殿。大変なことになりました。情報をまとめますと、我々に敵対する霊魔の集団がこの世界に紛れ込んでいたようです。
それも長い時間をかけて。気がつかないうちに、私の近くまで忍び寄っていました。首謀者は見当がついています。私の側近であったイシャナエイです。》
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