『霊魔伝』其の弐 火の章
《村長、あれを見てください。》
村人から選ばれたアミリタが指さした。
零次朗はその指の先を追った。
すると、霊魔が倒れていた。数えると三体。
カクギョウが近づこうとすると、村長が制止した。
《気を付けてください。罠かも知れません。シュレイよ、確認をしなさい。》
シュレイと呼ばれた霊魔が、前に進み出るとその姿が揺らめいた。
次第にその姿が薄れてゆき、それと反比例するように倒れている霊魔の傍にもう一人のシュレイが現れた。
そして、様子を探っている。
村長が零次朗に説明してくれた。
《シュレイの得意技です。自分のエネルギーを分割することで、分身を作り出します。
普通なら二人までが限界なのですが、シュレイは五人まで可能です。
しかもそのエネルギーはほとんど分割されません。
木の属性でエネルギーを増幅しながら、水の属性でそのエネルギーを分割しているのです。ふたつの属性を同等に併せ持つシュレイならではの技です。》
「なるほど、エネルギーの使い方で、いろんな事ができるんだな。」
零次朗は改めて感心した。
小太郎が付け加えた。
《零次朗。この戦いで多くを学ぶのだ。自分の属性が何であれ、知ることは役に立つ。力の使い方をよく見ておけ。》
シュレイがひとつに戻った。
《村長。彼らは奴を見張っていた村人です。不意打ちを食らい、瀕死の状態です。罠は仕掛けられていないようです。我々が来ることを見越して生かされていたようです。伝言を伝えるために。》
《伝言だと。》
《はい、零次朗殿を引き渡せば、皆の命を奪うことまではしない。零次朗殿と盟約を交わし、自由を得たいだけだ。できれば、無用な争いをしたくないということです。》
「俺が行くことで争いが避けられるなら、俺行きます。」
《零次朗、騙されるな。それが本当のことではない。何か別の目的があるに違いない。》
小太郎が零次朗をたしなめると、村長が頷いた。
《そうですね。そんな奴ではありません。門を破っていたのに、ここにまだ留まっているということは、企みがあるにでしょう。前にも同じようなことで、罠にはまって仲間がやられました。
零次朗殿に精神的な揺さぶりをかけ、仲間割れをもさせようとしています。奴には非道な心しかありません。》
村人から選ばれたアミリタが指さした。
零次朗はその指の先を追った。
すると、霊魔が倒れていた。数えると三体。
カクギョウが近づこうとすると、村長が制止した。
《気を付けてください。罠かも知れません。シュレイよ、確認をしなさい。》
シュレイと呼ばれた霊魔が、前に進み出るとその姿が揺らめいた。
次第にその姿が薄れてゆき、それと反比例するように倒れている霊魔の傍にもう一人のシュレイが現れた。
そして、様子を探っている。
村長が零次朗に説明してくれた。
《シュレイの得意技です。自分のエネルギーを分割することで、分身を作り出します。
普通なら二人までが限界なのですが、シュレイは五人まで可能です。
しかもそのエネルギーはほとんど分割されません。
木の属性でエネルギーを増幅しながら、水の属性でそのエネルギーを分割しているのです。ふたつの属性を同等に併せ持つシュレイならではの技です。》
「なるほど、エネルギーの使い方で、いろんな事ができるんだな。」
零次朗は改めて感心した。
小太郎が付け加えた。
《零次朗。この戦いで多くを学ぶのだ。自分の属性が何であれ、知ることは役に立つ。力の使い方をよく見ておけ。》
シュレイがひとつに戻った。
《村長。彼らは奴を見張っていた村人です。不意打ちを食らい、瀕死の状態です。罠は仕掛けられていないようです。我々が来ることを見越して生かされていたようです。伝言を伝えるために。》
《伝言だと。》
《はい、零次朗殿を引き渡せば、皆の命を奪うことまではしない。零次朗殿と盟約を交わし、自由を得たいだけだ。できれば、無用な争いをしたくないということです。》
「俺が行くことで争いが避けられるなら、俺行きます。」
《零次朗、騙されるな。それが本当のことではない。何か別の目的があるに違いない。》
小太郎が零次朗をたしなめると、村長が頷いた。
《そうですね。そんな奴ではありません。門を破っていたのに、ここにまだ留まっているということは、企みがあるにでしょう。前にも同じようなことで、罠にはまって仲間がやられました。
零次朗殿に精神的な揺さぶりをかけ、仲間割れをもさせようとしています。奴には非道な心しかありません。》