『霊魔伝』其の弐 火の章
零次朗はカクギョウに聞いた。

「一体どうしたんですか、俺たち。」

「今我々は、時空の歪みの狭間にいます。
零次朗さんを守るために、重力場を創り時間と空間を歪めて、その中に入り込みました。
敵の波動は非常に強いもので、零次朗さんを守りながら、戦うことはできないと判断をしたのです。
これで村長さんたちは、戦いに集中できるでしょう。」

カクギョウは淡々と答えた。

この時空の歪みを維持するのに、そうと神経を使っているようだった。

「カクギョウさん、俺はただ見ている訳にはいきません。一緒に戦わせてください。」

「村長さんたちは、命を捨てる覚悟をしました。それ程強い敵なのです。命をかけた彼らの戦いをしっかりと見てあげてください。」

《零次朗。この戦いに我々は勝てない。それを感じた村長は、少なくともおまえの命だけは守ることに決めたのだ。》
小太郎が思い詰めた声で言った。

零次朗は臨戦態勢に入った村長を見つめた。

村長は零次朗を見ながら微笑んだ。

《零次朗殿。短い付き合いでしたが、お会いできてうれしかったですよ。では。》
そう言い残すと村長の姿が大きく膨れ始めた。

三倍ほどになったその身体は、熊のように全身を黒い毛で覆われていた。

その他の霊魔たちも、変身していた。

そして村長の合図と共にそれぞれが散開した。
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